MBA体験談:半導体関連外資系メーカー 八尋大輔さん

MBA体験談:半導体関連外資系メーカー 八尋大輔さん
シルクロード自転車旅行中、中国甘粛省の路上にて地図を見る。
ビジネスにおけるMBAは異国の旅における地図と同じ。

 

八尋 大輔さん|半導体関連外資系メーカー

 

これまで外資系を中心に複数社転職を繰り返してきましたが、外資系ではMBAがないと上級管理職に上がれないというのはほとんど常識で、MBA以外にも修士・博士はごろごろいるため、学士しかないというのはコンプレックスでした。

ちょうどコロナで在宅時間が増えたこともあり、これからのキャリアのステップアップを見込んでMBAを検討しました。とはいえそれなりの金額がかかるため他社を含め慎重に検討しました。日本ではMBAがそれほど評価されていないため、日本のMBAは初めから検討せず、オンラインで取得可能な欧米の大学で、それなりに教育のクオリティが保証されているプログラムでコストメリットがあるアングリア・ラスキン大学にたどり着きました。

何故クオリティが高いのに安いのかは受けてみれば分かりますが、MBAに関係のないところにはお金をかけておらず、学習は自分の力で進める部分が大きいためです。もちろん講義で必要なことは教わりますが、大学院レベルですから本来手取り足取り教えてもらうことを期待するのは間違いというものでしょう。重視されるのはAssignmentという英国式のレポート課題で、これを一つ仕上げる度に明らかにレベルアップしている感があります。

課題は非常に抽象的な形で提示されており、それを具体的な自社の事例等に当てはめて指示された内容を書くのですが、慣れるまではこれがとても難しく、何故こんな意味の分からない課題を出されるのかとストレスすら感じました。しかし慣れてくると、これが実際には非常に優れた思考トレーニングであることが分かりました。というのは、世に優れた経営理論は数多ありますが、それを自社に当てはめて使えなければ意味がありません。Assignmentを通じて抽象-具体の交通整理がしやすくなり、現実の複雑極まりない実務を抽象的要素に分解し、理論を当てはめて問題解決に至ることができるようになりました。これは日本の大学までの教育にはない新鮮な学びの経験であったと言えます。

先に述べた通りこのプログラムは手取り足取りではありませんので、万人に居心地のいいものというわけではありません。特にクラスメイトを巻き込んでネットワークを作ることができないと、AssignmentやTop up後の論文執筆に行き詰ったときになかなか一人では先に進めないものです。もっともそれは現実のビジネスでも同じことですので、腹を据えて自身の力で学習を進めていける人、或いはそれすらMBAの課題と考えて積極的にネットワークを作っていける人にはこのExeJapan-ARUは良いプログラムではないでしょうか。

現実のビジネスと違って、MBAはお作法通りの努力をすればほぼ必ず取得できるものです。裏を返せばある程度の努力は必須なものですが、課程を終えてみればそれだけの価値はあったと実感できると思います。