私は生まれつき耳が聞こえない。よって、会話が困難な上、音声の聞き取りもできない。 コミュニケーションは筆談、メールおよびチャット、手話である。 勤務歴前職合わせて18年になったのを機に、ビジネスをより深く学びたい、ただそれだけの純粋な動機で学校を探していたところ、このビジネススクールと出会った。 話を聞いたところ、週末通学することにより、英国国立大学大学院に行けるプログラムがあるとのこと。 英国国立大学大学院にTop Upした後は、インターネットによるオンライン教育を通して、修士論文を出すことにより、大学院を修了できるとのこと。 つまり、仕事を休職、退職することなく、英国国立大学大学院の修士課程を修了できるのだ。 しかも、オンライン教育メインなので、障がい者にとってはやりやすいではないかと。 ビジネスの知識を深められる上、同時に英語スキルをも高められるなんて一石二鳥だ。こんな美味しいプログラムは他にない。 しかし、ハッキリ言って私は英語力に自信がない。TOEICスコアも恥ずかしくて履歴書に書けないほどだ。 なので、まずは英語力を高め、TOEICやIELTSのスコアを上げてからと思っていたところ、喜多代表に一喝された。 「そんなの、時間と金の無駄だ!」 ハッとさせられた。難しい理由を考えていた、自分自身の愚かさに。 英語力不問で入学許可してくれるところなんて、他にないし、このような機会はめったにない。 最後に私を決意させてくれたのは、喜多代表によるこの一言。 「修了した暁には、ロンドンでの卒業式に参加できますよ!」 馬の鼻先に人参をぶら下げられた私。こうなったら、やってやろうじゃないか。 すべてはロンドンでの卒業式に参加するため!とスイッチが入った私は入学を決めたのであった。
週末通学においては、平日夜間は授業のための勉強。土曜午後に授業を受け、翌日曜は前日の授業の復習をしつつ、次の授業に向けての予習。 このようなサイクルが半年続いた。寝る時間を惜しんで勉強したこともあった。 「仕事で忙しいから、勉強できなかった」の言い訳は使いたくなかった。 授業は刺激的でとても楽しかったが、ここで思わぬ壁にぶち当たってしまった。 授業を無事に受けられたことに満足したために、本来なら授業に並行して作成すべきアサインメントを疎かにしてしまった。 アサインメントにとりかかった時は授業で教わったことをど忘れてしまったため、相当苦労した。 最後は自分を追い込むように、○月○日までに提出するとリミットを設定することで、かろうじてパスできた。 振り返ってみると、この時期が一番苦しかった。何度も心が折れたそうになったとか。
次に英国国立大学大学院にTop Up。 Top Up後は、喜多代表たちとの関わりはなくなり、基本、自分で進めていく必要がある。 チューターとは、メールやりとりだったので、問題なかった。 チューターは基本、私どもがパスできるよう、サポートしてくれるので、チューターからのご指摘には素直に耳を傾けた。 そして、いよいよ修士論文作成。 サーベイを行ない、その結果および考察をしつつ、修士論文を作成するのが、一番楽しかった。 修士論文を作成していく中で、知識や思い込みをいったんゼロに戻し、ゼロから物事を考えていく、ゼロベース思考がビジネスに重要であることを学んだ。 この「ゼロベース思考」が喜多代表が口を酸っぱくしておっしゃっていたことだ。 今後は、ゼロベース思考スキルを携えて、仕事にて活かしていきたい。 そして、「私でもできるんだ!」という自信を武器に、海外勤務含め貪欲にチャレンジしたい。
ロンドンでの卒業式は我が生涯において、けっして忘れることのない貴重な思い出の一つとなった。 どのような卒業式だったのかは、自分自身で実際に味わってほしい。